スポーツ用義足で走る喜び、再び新潟医療福祉大が障害者対象に陸上教室

課題への取り組み

スポーツ用義足で走る喜び、再び
新潟医療福祉大が障害者対象に陸上教室

新潟日報モア
障害者陸上教室で、動きを確かめながら練習に励む参加者ら=新潟市北区

 大腿(だいたい)切断などで下肢に障害がある人にスポーツ用の義足を貸し出す陸上教室を、新潟医療福祉大(新潟市北区)の義肢装具自立支援学科が開いている。参加者は「数十年ぶりに走って涙が出た」と話すなど、一度失われた走る感覚や汗を流す喜びを取り戻している。2020年東京五輪パラリンピックを控えパラスポーツに注目が高まりつつある中、関係者は認知の広まりに期待している。


 「太ももを前に出す感じで」。新潟医福大の屋内走路で5月末、スポーツ用の義足を付けた参加者がミニハードルを使った練習で汗を流していた。ゲームを取り入れて楽しみながら、50メートル走のタイムも計った。

 陸上教室「新潟医療福祉大ParaTFC」は2017年7月、義肢装具士で、義足走者を研究する同大助教の高橋素彦さん(41)が始めた。

 高橋さんによると、大腿切断の人らが普段使う義足はバネなどがなく、走ることは難しい。一方、走れる義足は「板バネ」と呼ばれる足部、膝の役割を果たすパーツなどを合わせると80万~100万円と高額で保険もきかず、一般の人はなかなか手を出せない。

 そこで義足メーカーの協力を得て、運動用の義足を無料で貸し出し、体験できる場を設けた。月1回の教室に現在は4人が定期的に通っており、大会にも出場している。

 発足当初から参加する新潟市北区の無職小林和夫さん(60)は、23歳の時にけがで左脚を切断して失った走る感覚を、この教室で取り戻した。「障害者向けのスポーツクラブもあるが、スポーツ義足を使ったものはない。三十数年ぶりに走った時は、昔を思い出して涙が出た」と振り返る。

 新潟市西区の公務員森貴史さん(31)も参加者の一人。「運動をしたかったが、個人では時間も知識もなく一歩が踏み出せなかった。やりたいと思っていても行動を起こせない人に、この教室を広めたい」と話す。

 教室はサポートする学生にとっても、義足使用者と触れ合う貴重な場になっている。同学科3年の塚越蓮さん(23)は「使用者が大会で走る姿も見られ、話も聞けるのはいい体験になる」と言う。

 高橋さんは「将来的には脚に障害のある子どもが運動会に出るために、義足を試せるような場にしたい」と話し、子どもにも身近に感じてもらえる陸上教室を目指して意気込んでいる。

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この記事は、新潟日報モアに掲載された記事(2019年6月11日)を著作権者の許諾を得て転載したものです。

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