義足の進化 能力引き出す

日本の技術力

義足の進化 能力引き出す

日本経済新聞

サイボーグは強度や走行性能が高い義足を開発している

パラアスリートを支える義足にも日本企業の技術が多く採用されている。炭素繊維など強度が高く、軽量な素材を活用。義足は一般用の需要も見込めるほか、競技用の開発で得た技術を他の製品開発に生かせる可能性もあり、日本のスタートアップや素材メーカーがしのぎを削る。健常者のトップ選手並みのパフォーマンスを出す事例も出ており、注目されている。



サイボーグの遠藤社長

2016年にブラジルで開催されたリオデジャネイロ・パラリンピック。陸上男子100メートルに出場した佐藤圭太の競技用義足を開発したのがスタートアップ企業のサイボーグ(東京・渋谷)だ。

ソニーコンピュータサイエンス研究所の研究員の遠藤謙氏が起業。元陸上五輪選手の為末大さんらが開発チームのリーダーを務め、陸上や素材、データ解析のプロが集い、競技用義足を開発する。サイボーグの義足は主要部材の「板バネ」の素材に東レ製の炭素繊維素材を使用し、強度や走行性能を高めている。強みは選手の走りを実際に解析したアイデアを製品開発に生かしている点だ。

進化する義足で健常者並みの記録を出す選手も出てきた。サイボーグの遠藤社長は「義足を性能面で進化させる段階は終わりつつあり、今後は選手自身が速くなる時代。まだまだ引き出せる身体能力はある」と話す。

ブリヂストンは義足の裏にとりつける「ソール」にタイヤの技術を取り入れた。パラトライアスロンの秦由加子が走る際に装着する義足向けのゴムソールを17年から開発。滑りにくく、耐久性に優れたタイヤの素材を活用した。タイヤの技術を義足の素材に活用した事例は世界でも珍しい。

ブリヂストンは開発にあたり、秦の走りのデータを解析。どの動作をする際に、どこに負荷がかかりやすいかを調べた。負荷がかかる部分の強度を高める設計にし、滑りにくい強度の高いタイヤに使う計測や材料設計の技術を生かした。

ミズノは福祉機器を開発・販売する今仙技術研究所(岐阜県各務原市)と16年から競技用義足向けの板バネを市販している。義足用スパイクソールも開発。パラ陸上走り幅跳び選手の山本篤もプロジェクトに協力した。

(川上梓)

————————————————————————————————–

この記事は、日本経済新聞に掲載された記事(2019年8月23日)を著作権者の許諾を得て転載したものです。

著作権者の許諾を得ずに、コピーして配布したり、転載や公衆送信することはできません。著作権についてはこちら

 

ロケーション

元記事・参考記事
オリジナル記事はこちら

テーマから記事を探す

このサイトでは、サイトや広告を改善するためにCookieを利用します。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。プライバシーポリシー