アスリートの爪補修液で守る…繭から抽出のたん ぱく質原料

日本の技術力

アスリートの爪補修液で守る…繭から抽出のたん ぱく質原料

読売新聞社
アスリート向けの⽖補修液。東京五輪をにらんで売り出す計画だ(写真:読売新聞社)

絹織物の産地・桐⽣市の企業が、蚕の繭から抽出したたんぱく質などを原料に、アスリート向けの⽖補修液を開発した。球技や格闘技、陸上など多くの競技で⽖は⼤切な“道具”。割れや傷みは選⼿のコンディションを低下させる。補修液は⽶国のドーピング検査も今年3⽉にクリア。来年の東京五輪・パラリンピックをにらみ、今秋売り出す計画だ。

開発したのは、1982年創業の染⾊加⼯業「アート」。保湿効果のある絹たんぱく質「セリシン」を使い、せっけんや化粧品の製造も⼿がけている。

⽖補修液の研究は2016年に始めた。プロ野球選⼿が⽖を割って途中交代する場⾯を幾度も⽬にしてきたという伊藤久夫社⻑(77)が「テーピングでしのぐよりも、⽖そのものを補強・補修できないか」と考えた。

開発には、農業・⾷品産業技術総合研究機構(農研機構)の特許技術も活⽤。スズメバチの繭から⽣成したたんぱく質とセリシンを混合させた。成分が⼈の⽖とほぼ同じで、らせん状の強い構造を持ち、⽖割れを防ぐ効果が期待できるという。まずは17年秋、⼀般向け商品「ホーネットシルクネイルローション」(税別2600円)として発売。県内に加え、東京都内の東急ハンズでも扱われている。

アスリート向けには、さらに素早く効果が出るよう、鶏の卵殻膜から抽出した成分も加えた。卵殻膜のたんぱく質には結合を強める性質があり、試作品で数か⽉試したところ、効果が確認されたという。今後は五輪競技団体にも試作品を提供し、使⽤試験を⾏っていく予定だ。⼤⼿スポーツメーカーとも市販に向けて協議しており、3か⽉程度使える量が⼊って約1万円の価格を想定している。

伊藤社⻑は「⽖の傷みで悩む選⼿は多いはず。桐⽣の技術を⽣かした製品で、五輪での彼らの活躍をバックアップしたい」と話している。

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この記事は、読売新聞に掲載された記事(2019年7月26日)を著作権者の許諾を得て転載したものです。

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