日本の技術力

東北のサポーターたち︓2020五輪・パラ 寒暖差活⽤し栽培、緑化企業 ⼭形 コケで東京を冷やす

What's Up Japan

◇暑さ対策、10度以上効果も



屋根に設置できる「コケボード」と⼭本正幸社⻑=⼭形市で

五輪のマラソンと競歩の会場が札幌に移るなど暑さ対策が課題の東京五輪・パラリンピックに、⼭形のコケが“涼”を届けようとしている。コケを植えた特製の軽量ボードを既存の建物に取り付けるなどして暑さを緩和するもので、屋根に設置すると10度以上も温度を下げる実験結果がある。東京⼤会ではチケット売り場の壁⾯など⼈の集まる場所での活⽤が期待されている。

 「コケボード」を作っているのは、屋上・壁⾯緑化などに取り組むモス⼭形(⼭形市中沼)。⼭本正幸社⻑(67)は1991年にログハウス販売会社を設⽴したが、⽇々、出⼊りする⼭で⾒掛けたコケの可能性を探っていた。折しも97年に京都議定書が採択されて温暖化対策に注⽬が集まった。「いつかコケが温暖化対策に必要になる時代が来ると感じた。⼭間部が多い⼭形は適した環境だ」と、2000年からコケ栽培・販売に転じ、04年に現在の社名に変えた。

 同市内や⼭形県遊佐町、酒⽥市の耕作放棄地計10ヘクタールを栽培畑とし、8種類のコケを育てている。農作物と違って⿃獣の⾷害はなく、軽量で⾼齢者も作業しやすい。畑は中⼭間地にもあり、平地より寒暖差が⼤きいため朝露や夜露が多い点が⽣育に適しているという。現在は社員18⼈、パート4⼈と⼩規模ながら、屋上緑化に関するコケ 栽培・加⼯量は全国シェア8割を誇る。

 国⼟交通省が東京⼤会での活⽤を念頭に17、18年に暑熱対策の実証調査パートナーを募集した際には、唯⼀、
コ ケに特化した緑化技術を提案し、いずれも選定された。
強化発泡スチロールとコケを⼀体化したボードは屋根、不織布とコケのマットは壁に取り付け可能だ。19年8⽉に⼭形市内の倉庫の屋根で実験すると、気温36・9度の時、ボードを設置していない屋根は52・9度まで上がり、ボードを設置すると38・6度。過去には20度の差があった実験結果もあるという。

 ⽇当たりの良い場所で使われるスナゴケは保⽔⼒が⾼く、乾燥にも強い。壁⾯緑化で主流の花やツタ、芝と違って⼟が不要で、維持コストも少ない。⽣育には1年から1年半かかるが、雪の下でも炎天下でも育つという。

 かつて33年に気温40・8度を記録し、07年まで「最⾼気温⽇本⼀」だった⼭形発の技術で暑い東京を冷やす作戦。全国的に中⼭間地の耕作放棄が課題の中、⼭本社⻑は温暖化対策に加え「耕作放棄地を有効活⽤し、地域の活性化にもつなげたい」と⼒を込めた。【的野暁】

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この記事は、東京オリンピック・パラリンピック延期決定前に毎日新聞に掲載された記事(2020年1月5日)を著作権者の許諾を得て転載したものです。

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