東北のサポーターたち︓2020五輪・パラ 町⼯場と教授タッグ ⼭形 円盤づくりに英知注ぐ

日本の技術力

東北のサポーターたち︓2020五輪・パラ 町⼯場と教授タッグ ⼭形 円盤づくりに英知注ぐ

What's Up Japan

◇妥協せず挑戦続ける



⼿掛けた円盤を⼿にする⻫藤秀雄社⻑(左)と瀬尾和哉教授=⼭形県中⼭町の⻫藤クラフトで

町⼯場の技術と研究者の理論で五輪やパラリンピックなどの⽤具開発に挑む強⼒タッグが、⼭形に存在する。板⾦塗装業「⻫藤クラフト」(⼭形県中⼭町⻑崎)の⻫藤秀雄社⻑(63)と、⼭形⼤の瀬尾和哉教授(50)=機械⼯学=だ。東京⼤会やその先を視野に、陸上円盤投げの円盤づくりなどに英知を注ぐ。妥協のない姿勢は、アスリートの競技⼒向上に⼀役買っている。


 ものづくりが好きな⻫藤さんは「レースで鈴⿅サーキットを⾛りたい」と考え、1984年から地元有志と趣味でエコカーを作り、出場してきた。繊維メーカー社員から⾃動⾞修理業勤務を経て92年に独⽴。⾞の修理や板⾦塗装を始めたが、約20年前に瀬尾さんから研究に使う器具の製作依頼を受け、⼆⼈三脚の歩みが始まった。


 瀬尾さんは⾵洞装置を使った空気抵抗の影響が研究テーマの⼀つ。2014年のソチ五輪ではスキージャンプ選⼿のスーツ開発に関わり、⻫藤さんは選⼿のマネキンを作って計測を下⽀えした。16年のリオデジャネイロ・パラリンピックは、視覚障害者が健常者と2⼈で乗る⾃転⾞のタンデム種⽬に注⼒。空気抵抗の少ないこぐ姿勢を探る上で瀬尾さんが選⼿を模した⼈形を発注すると、⻫藤さんは両脚が動くよう仕上げた。「動かない模型をイメージしていたが、妥協せずその上の回答をしてくれる」と瀬尾さん。屋内練習⽤のローラートレーナーまで作った。

 17年からは⼥⼦⽤の円盤(1キロ)に挑戦。瀬尾さんが⾵洞で円盤の空⼒特性を探り、規定内で外縁部分の丸みなどを改良すれば、初速が⼤きく空中で抵抗が少なくなると⾒込んだ。それを⻫藤さんが図⾯化し、近くの製作所の協⼒も得て型を製作。円盤の中央部分は⼀般的な繊維強化プラスチックではなく、エコカー作りで磨いた加⼯技術でカーボン繊維を何層にも重ねて強度を備え、⾵洞での性能確認を繰り返した。

⽇本陸上競技連盟の検定をパスし、練習⽤に1・1キロの円盤も国内トップ選⼿に届けた。五輪には世界陸連の検定が必要で、東京の空を舞うかは未知数だが、挑戦は続く。

 「シンプルな物は壊れない。⼀つ⼀つの部品の精度を上げることが壊れないものづくり」と語る⻫藤さん。本業の後に始める作業が深夜に及ぶこともあるが「できるまで努⼒する。できないというのは⾃分で限界を作っているだけ。現場の⼈から望まれて作ることは⾯⽩い。少しでも役⽴つ物を作れるようになったかな」と話した。【⽇⾼七海】

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この記事は、東京オリンピック・パラリンピック延期決定前に毎日新聞に掲載された記事(2020年2月12日)を著作権者の許諾を得て転載したものです。

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